睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する疾患です。呼吸が10秒以上止まる状態が1時間に5回以上繰り返される場合にSASと診断されます。最も一般的なタイプは 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA) で、喉の筋肉が弛緩して気道が閉塞し、呼吸が停止します。これにより酸素が血液中に十分に供給されず、睡眠の質が低下します。症状には、大きないびき日中の強い眠気集中力の低下頭痛などがあります。放置すると、高血圧や心疾患、脳卒中のリスクが増加し、生活の質が著しく低下します。

SASの原因

SASの主な原因は以下の通りです:

  • 肥満:過剰な体脂肪が喉の周囲に蓄積し、気道を狭めることがあります。
  • 年齢:加齢に伴い、喉の筋肉が弛緩しやすくなります。
  • 男性:男性は女性よりもSASを発症しやすい傾向があります。
  • 飲酒や薬物の影響:アルコールや一部の薬物が筋肉を弛緩させ、無呼吸を引き起こしやすくなります。
  • 遺伝的要因:家族にSASの患者がいる場合、発症リスクが高くなります。

対策と予防法

SASの予防と症状の改善には、生活習慣の見直しが重要です:

  1. 体重管理
    • 肥満がSASの大きなリスク因子であるため、体重の減少が有効です。適切な食事と運動で体重を管理することが推奨されます。
  2. 睡眠時の体位の改善
    • 仰向けで寝ると無呼吸が起こりやすくなるため、横向きで寝ることが勧められます。
  3. アルコールと薬物の制限
    • 睡眠前のアルコールや鎮静薬の摂取は、気道をさらに狭めるため、これらの使用を控えることが望ましいです。
  4. 禁煙
    • 喫煙は喉の炎症を引き起こし、気道を狭めるため、禁煙することが症状の改善に繋がります。

治療法

  1. CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
    • SASの最も一般的な治療法です。CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)は、就寝中にマスクを通じて空気を送り、気道を開いた状態で維持します。これにより、無呼吸や低呼吸を防ぎます。
  2. 口腔内装置(マウスピース)
    • 軽度から中等度のSASの場合、歯科医が作成する専用のマウスピース(口腔内装置)を使用することがあります。これは下あごを前に出して気道を広げる働きがあります。
  3. 外科的治療
    • 重度のSASや他の治療法が効果的でない場合、外科的手術が選択されることがあります。手術には、軟口蓋や扁桃腺の摘出、または顎を前方に移動させる手術などがあります。
  4. 薬物療法
    • 一部の患者には、睡眠薬や鼻づまりを改善する薬が使用されることがありますが、薬物療法単独でSASの治療には不十分な場合が多いです。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、呼吸が一時的に停止することによって睡眠の質が低下し、日常生活に影響を与える疾患です。肥満、年齢、飲酒、喫煙などがリスク因子となりますが、生活習慣の改善や治療法の導入により症状の軽減が可能です。最も効果的な治療法はCPAP療法ですが、軽度の場合はマウスピースや体重管理、禁煙が有効です。早期の診断と適切な治療が、健康リスクを減少させ、生活の質を向上させるために重要です。