肺水腫とは
肺水腫(肺水種)は、肺の間質(肺の組織)や肺胞(ガス交換を行う部分)に異常に液体がたまる状態を指します。これにより、酸素の交換が障害され、呼吸困難や低酸素血症が引き起こされます。主な原因は、心不全(特に左心不全)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、腎不全、または肺の感染症などです。心不全の場合、血液が肺に逆流して液体が溢れ、肺水腫が発生します。
主な症状
肺水腫の症状には、以下のものがあります:
- 呼吸困難:軽度から重度の呼吸困難が現れ、特に横になると息苦しさが増します(起坐呼吸)。
- 咳:透明またはピンク色の泡状の痰が出ることがあります。
- 喘鳴:呼吸音がヒューヒュー、ゼーゼーと聞こえることがあります。
- 胸部圧迫感や疲労感、動悸も伴うことがあります。
対策と予防法
肺水腫を予防するためには、原因となる疾患を早期に発見し、管理することが重要です。以下の対策が有効です:
- 心不全の管理:
- 心不全の治療には、薬物(利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬など)を用いて、心臓の負担を軽減し、液体の貯留を防ぎます。
- 適切な塩分制限や水分制限も、心臓の負担を減らすために必要です。
- 感染症予防:
- 肺炎や感染症が肺水腫を引き起こすことがあるため、予防接種や早期の治療が重要です。
- 手洗いやマスク着用などで感染を防ぐことが推奨されます。
- 禁煙と適度な運動:
- 喫煙は心臓や肺に負担をかけるため、禁煙することが肺水腫の予防に繋がります。また、適度な運動により心肺機能を強化することも効果的です。
治療法
肺水腫の治療は、その原因に応じて異なりますが、主に以下の方法が取られます:
- 酸素療法:
- 呼吸困難を軽減するために酸素投与が行われます。重度の場合は、人工呼吸器を使用することもあります。
- 利尿薬:
- 肺にたまった液体を排出するために、利尿薬(フロセミドなど)が使用されます。これにより、液体の貯留を減らします。
- 心不全治療:
- 左心不全が原因で肺水腫が発生している場合、心不全の管理が重要です。ACE阻害薬やβ遮断薬で心臓の負担を減らし、血液の流れを改善します。
- 機械的補助:
- 進行した場合、補助的な治療として、機械的に血液を循環させる装置(例:人工心肺)を使用することもあります。
まとめ
肺水腫は、液体が肺に溜まり呼吸困難を引き起こす疾患で、主に心不全や感染症が原因です。早期に原因疾患を治療し、酸素療法や利尿薬を用いることで、症状を改善することが可能です。生活習慣の改善(禁煙や運動など)とともに、適切な治療を受けることで、肺水腫の発症や進行を予防することができます。